Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

björk ビョークのライブ

ビョークを知ったのは1997年だ。
街もメディアもどこを見ても『ホモジェニック』のジャケットが目に飛び込んできた。西洋と東洋とデジタル音楽と、どこかわからない民族性と毒っけに惹かれて聴いて、どっぷりと魅せられて。
さかのぼって『ポスト』や『デビュー』などを聴き、まったくもって好みではない映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』も見て(ビョークのミュージックビデオだと思って頑張った)。
『ヴェスパタイン』を買って『グレイテスト・ヒッツ』を聴き込み、『メダラ』を聴いたあたりまでずっとビョークという音楽が共にあった。
まだまだ音楽を聴くことはCDを買うというのと同じ意味の時代だった。

それから20年以上経って、はじめて生でビョークのライブを見ることになった。

こんにちは。
Eri Koo(エリ・クゥ)です。

正直、行くつもりはなかった。
気の知れた友だちに誘われていたら、素直な気持ちをそのまま表明して断っていたかもしれない。
ビョークは今も聴いてるけど昔のアルバムばかりだし。たまに動画で最新のライブを見ても、先鋭的すぎて心に迫るものがなかったし。
今のわたしが、今のビョークを聴いたところでどうなんだろう。あの当時のビョークが好きだったことを大事にしたいな、という気持ちが強かった。気楽に行ける金額でもなかったし。

でも、意外な人物に誘われて。それがなんだかうれしくて。
その気持のまま、ノってみることにした。

第一声から。

ずっとCDで聴いてた声が。
映画から流れてくる歌が、レコードに針を落としてヴィンテージオーディオで流していた音が、そのまんまコンサートホールに響き渡った。
こんなにも寸分違わず、音源と生歌の印象が狂わない声をはじめて聴いた。
感動を超えた驚きで、ぶわっと涙が出て。
声が、波のように、聴いているこちら側へ打ち寄せてくる。その波が重なって共鳴して、どんどんやってくる。その圧力みたいなものに、身体がしびれてきて。
海の中で海流にゆらされてるみたいだった。
歌が上手いとか、キーがどうとか、そういう存在じゃなかった。
海とか川とか火山とか、木や森や風とかみたいな。
地球、とか。
そういう自然や自然現象みたいな音楽だった。
ビョークっていう『音楽存在』。
人間も、自然の中に組み込まれてる一つの生きもので自然現象なんだなぁって、思い出させるような。
音楽って、人間って、こういうことが出来るんだな、と。

神戸でのライブは【björk orchestral】と名前が付く通りに、ビョークとオーケストラによるものだった。
(東京では違う形態の【cornucopia (コーニュコピア)】もあったらしい。ライブ後に、それも行きたくなった。行けなかったけど)

オーケストラの存在にはほとんど気をとられなかった。
それぐらい、徹底して職人芸としてビョークの音楽を支えて一緒に作っていたように感じた。
ビョーク一人でオーケストラ2~3個分くらいの音楽を奏でてるみたいだった。
電子的に編集したという意味でなく、その生声にはいろんな声が重なっていて。
高く澄んだ純粋なる高音や、ガサッとしたレースみたいな質感の声、胸から響くようなトーンのボーカル、カエルや虫みたいな跳ねるようなリズミックな音。
何層ものスカートがゆらめくみたいに、それらがかわるがわる多彩に広がったり、重なったり、単独で聞こえて。
いろんな楽器が、いろんな音を奏でる生物が、ビョークの中にたくさんたくさんいるような声。
森が、その中に多彩な生命を包んだまま、それごと歌ってるみたいな。
そんな、音楽。

だからと言って、決して「聖なる大自然」とかではない。
現実の世界が、自然がそうであるように、毒や腐敗や残酷さ、気色の悪さ、悪趣味も含んでいる。
そういう意味でも、自然や人間や生きものを丸ごと、そのまんま、を声で表現できたなら、こういう音楽ができるのだ、と知った。

なんとも、すごかった。

このライブに行けたことが、人生のポイントになった。ご褒美だった。
そういうレベルの体験だった。
こんなものを体験させてもらえるなんて、自分の人生はちゃんと祝福されてるぞ、というような。
大げさかもだけれど、それくらい思った。

実際、頭や身体にたまっていた不必要なものが一掃されたような感覚がした。
キンッキンに感覚が開いて、めちゃくちゃ勘が効くみたいな状態。
大自然の荘厳な風景を見たり、土地の力が満ち満ちてる場所に行ったときみたいな感覚。
それが、ビョークのライブ体験だった。

ほんの少しばかりキーが低くなったのかもしれないし、歌い方もずっと伸ばすより切って歌うようにしてた、年齢に合わせた工夫もあったようには感じたけど、それもただの変化。
森の様子が四季折々で変化していくようなもの。
本質はデビュー以来まったく変わらず、ずっと、ビョークビョークだった。

行ってよかった。行けてよかった。
ありがとう、N。

ライブ後、屋台街の中での台湾料理も最高だった

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