Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界 ユヴァル・ノア・ハラリとの60分」

4月25日にEテレで放送された
ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界 ユヴァル・ノア・ハラリとの60分」』
私見・感想を交えながらシェアします。
インタビュー全文の文字起こし記事ではありません。重複箇所の省略や、要約・意訳が含まれます。
記事がとても長くなります。

こんにちは。
Eri Koo (エリ・クゥ) です。

この番組です。

www.nhk.jp

4月30日(水)の深夜24時から再放送があります。
NHK受信料を払ってる方は無料で「NHKプラス」からも視聴できますよ。

この前回の放送で反響が大きかった、ハラリ氏へのインタビューのほぼ全体を放送してくれたものです(こちらも再放送があります)。

www.nhk.jp

新型コロナの嵐はやがて過ぎさり、人類は生き残るだろう。
しかしその時、私たちは今とは異なる世界に住むことになる。

この危機を乗り越える体力のない途上国の崩壊と、新型コロナの突然変異が懸念されます。

―民主主義の危機と全体主義への危険

いま政府は多額の経済政策をしているが、それが新型コロナ収束後に撤回されるわけではありません。
民主主義は平時ではなく、緊急時に崩壊します。しかし、民主主義が本当に必要なのは緊急時です。
回避するには、民主的な市民に寄る監視が必要です。
その監視がないと権力者は友人や支援者を助け、その他を倒産させてしまう。
援助を権力につながる人だけでなく、国民全てに支援させるように監視しなければならない。

人々の恐怖感が強いと、賢くて力のあるものに権力を掌握して欲しいという心理になる。
つまり、すべてを決めて面倒を見てくれる、父親のような人を求める。
それは危険です。
一人の人間が権力を持つ=独裁となると、その人は間違いを正さなくて良くなります。そして間違いを積み重ね続けてしまう。

この心理は誰もが心に思うところ。誰か賢い人なんとかして欲しい。そう思ってしまうのは人間として自然なことなのかもしれませんが、それが全体主義を生む。
自分で考え行動し、独裁を選択しないことが民主主義を存続させます。

―監視社会への懸念
 (中国では既に、国民の行動記録や健康状態まで監視されるシステムが導入されつつある。)

今回のことで、民主主義でも大規模な監視システムが導入される可能性がある。
一度導入されてしまうと、取り外すのは困難。
次の脅威(新たなインフルエンザやエボラの可能性もある)に向けて、備えなければならないとなってしまうから。
今までは監視は表面だけだった。
ネットで抜き取られる情報も、国家による監視も、個人の行動や友人関係だけに特定された。
しかしテクノロジーの発達により、身体内部情報の監視も可能となる。
血圧、心拍、体温。それらを把握すると感情を掴むことが可能になる。
ニュースを見て、あるいは本を読んで、どこで興奮したか、どこが気になったかを政府が知ることになる。
政府は人を把握しコントロールしたい。

既にこのテクノロジーは実現され、導入されています。
血圧、心拍、体温は感情と連動し、さらなるテクノロジーの発達は、その人の個性や適性、遺伝情報など、ありとあらゆることがデータ化されて管理する事ができます。
決してSFの話ではなく、今ある現実の話。
そしてそれが独裁国家で使われたら?
独裁者の意に沿わないものは、例え表面を繕っていてもばれてしまい、粛清が簡単に行われ、思想コントロールは容易になります。

しかし、感染拡大を阻止するために情報収集は必要。
だから、その情報を政府や秘密警察が収集するのではなく、医療機関や専門家に寄る第3グループがそれを有効活用すべきである。
イスラエルであれば、政府が協力しろと言ってもパレスチナ人は協力しないだろう。
しかし、感染抑制のために協力してくれと医療機関が言うならば、協力するだろう。

イスラエルでは戦争が起こった1948年に、食料品を制限制限する緊急命令が出されました。
それはまるでジョークのように思える「プディング令」、つまりプリンの材料にまで命令が出された。しかもそれが解除されたのは2011年。
つまり、緊急時に発令されたものが、緊急事態が解除されたからといって、同時に解除されるわけではないのです。

―市民に力を与えること

特定の個人にパワーを与えてはいけない。
市民に力を与えることにより、自分の健康を守り、感染拡大を抑えることが出来る。
感染拡大を食い止めるために、監視に使われる新技術を利用するのは賛成です。
しかし「監視」は政府だけではなく、市民にも力を与えるべきです。
個人データを政府が密かに保管することは許されません。
市民が自分で自分のデータにアクセス可能であるべきです。
そして、イランのように全体主義であると、そのデータは信頼できません。
データは透明で双方向であるべきです。
そして、充分な知識を持ち、自分で判断できる国民は、警察に支持されるだけよりはるかに効果的です。

―市民の責任

信じるべき情報を吟味し、科学に基づいて情報を信頼すること。
状況を知り、不確かな情報に惑わされず、科学的ガイドラインに従うこと。
そうすれば独裁的手法に頼らなくてよくなります。

日々、日本の対応にため息をついている場合ではありませんね。彼らを選択したのはわたしたち自身であるのですから。
これでいいのか?とチェックする目と行動を養い、政府に頼らない個人の力を強める時が来ています。

―グローバリゼーション

今回のパンデミックがグローバリゼーションのせいだとするのは間違いです。
われわれは小さな単位で生活していた石器時代に戻ることは出来ません。
必要なのは各国の協力と情報共有です。

人間の最大の強みは協力することです。

それぞれの国が自分のことだけ考えると、貴重な情報は失われます。
中国や韓国は新型コロナに関する知見をたくさん持っています。
それらを開示しなければ、他国もまた同じ過ちを犯すことになります。

―しかし、アメリカはWHOへの資金提供を打ち切り、医療用マスクなどの輸出制限をした。世界は逆へ向かっているように思います。

この3~4年でアメリカは世界のリーダーの座から降り、アメリカファーストとなった。
もはやアメリカには友人はいない。
そして世界の空気も、敵意や分裂がエスカレートしています。
このことが、感染拡大と経済崩壊を食い止めることを難しくしています。

私は集団でリーダーシップを発揮することを期待します。
リーダー不在の空白を埋めるのは、情報共有です。
そして、市民が自国の政府に圧をかけるのです。
今、他のもっと困っている国を助けたい、その重荷を背負う覚悟は有ると政府に言えば、それに答える国が出てくるでしょう。
危機に対してだけでなく、今後の世界にも良い影響を与えます。

世界の状況は、日本でも同じです。今は各都道府県個別で事態に当たっているのが見受けられます。これが分断・分裂に繋がっていかないように見ていかないといけませんね。

―今は戦争状態と同じ?

これは戦争ではありません。間違った例えです。
戦争は銃を持った兵士たちの殺し合いです。全然違います。
今ヒーローは患者のシーツを換え続けるナースです。重要なのは人のケアをすることであり、殺し合いではありません。
ウイルスはやっつけなければいけませんが、いかなる人も敵ではありません。

―事態に打ち勝つたと言えるのは、どういう状態でしょうか?

戦争・闘い・勝利、そういった例えは使うべきではありません。
世界中のすべての人をケアし、ウイルス拡散から守り、経済的苦境から守ることができれば、それが成功です。
自国だけ守って、他国が崩壊したら、それは成功ではありません。

―ハラリ氏は、トランプ大統領がWHOへの資金提供を打ち切った翌日に、WHOへ1億の寄付をした。これには、何故自国のイスラエルへの寄付ではないのか?という批判もあった

暮らしに困らない者は物惜しみをすべきではない。
イスラエルの地元の病院が成り立っているのは、中国・ドイツ・アメリカ・イタリアからの情報と技術提供のおかげです。自力でのワクチン開発も困難です。
パンデミックから同胞を救おうとするなら、国際協力を選ぶほか道はありません。

―未来は?

人類は、これまで乗り切ってきたように、今回も乗り切るでしょう。
けれど、それが何をもたらすのかは決まっていません。結末を決めるのは私たちです。

もし自国優先の孤立主義や独裁を選び、科学を信じず陰謀論を信じるようになったら、その結果は歴史的大惨事でしょう。

グローバルな連携や民主的で責任ある態度、科学を信じる道を選べば、例え死者や苦しむ者が出ても、後になれば人類にとって悪くない時期だったと思えるでしょう。

私たち人類は、ウイルスだけでなく、自分たちの内側に潜む悪魔を打ち破ったと。

恐怖や幻想・妄想を克服し、真実を信頼して、強く団結した種になれた時代と位置づけられるでしょう。

今回のことが分水嶺であることは、個人にとっても同じ。
自分だけ、自分の家族と周囲だけ良ければ良いという考えは、成功とは言えません。
利他主義であること。
本当に自分を守りたいのであれば、世界中すべてが助かっていなくては、それは成し遂げられたとは言えないわけです。

―毎日、コロナで心が不安になります。

私は毎朝2時間瞑想をしています。
しかしそれは、誰にでもいいかはわかりません。
人によってはスポーツや、セラピーがいいかもしれません。
自分の心をいたわることが重要です。

科学を信頼することで、恐怖を乗り越える事ができます。
そうしないと恐怖心が膨らんで、非科学的な行動を取っていまします。

オープンな心で、状況を科学的・理性的に見つめれば、きっと出口は見つかります。

以上、ハラリ氏のインタビューでした。
今の状況を世界的視野でわかりやすく解説してくれて、どういった行動をすべきか、どう状況を見ていくかという方法を提示してくれたように思います。
自分の中の指針と混ざり合い、新たな目で世界が見れるようになった気がします。

まだ人類を信じれる、希望がある。
そんなインタビューでした。

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読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪

(今日のおすすめはお休みです!)

 

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