神社への正しいお参り5 - 自帰依自灯明
少し前、御神体であるお山に入らせてもらえる、某神社さんへ行った時の話。
生まれて初めて、聖域という場所でビジョン(脳に直接届くイメージと物語)を視せてもらったところ。
それ以来もう15年、折に触れて参拝させていただいています。
神聖な空気は素晴らしく、歓迎ムードもキラキラと漂っているのですが、何かが物悲しい。
疲弊、という感じでもある。
すぅーと意識を同化してみると、お山全体に濁りが溜まってきている。
要するに穢れてしまっているのです。
それは何故か。
大抵。みんな、何かを求めてやってきます。
人生何かイイ感じにしたい、開運したい、お金持ちになりたい、病気治したい、欲しい、欲しい、欲しい、何かを貰いたい、努力せずに得したい、だってここに来るだけで良いことあるんでしょ?と。
そんな気持ちで。
特別な場所に入るのに潔斎もせず、気楽な身なりで、求める気持ちだけを胸にそういったパワーのある場所に入って、自分の我欲と穢れを落としていく。
それが、どんどん溜まっていく。
不便な場所にあることもあり、関係者さんの多大な努力でぎりぎり神聖は保たれていますが、悲しい空気がそこに漂っています。
おこがましいのではありますが、そんな風に少し心配をしていました。
数日前。
テレビで、ベトナム人アーティストがその場所を訪ね、案内人と権禰宜さんに説明を受けながら巡り、作品を創る番組をやっていました。
「木や花やそこかしこに神様が宿っているのがわかる。けれど、少し、悲しい。」
そう言って美しいイラストレーションを見せてくれたのですが、わたしが感じた悲しさと神聖がそこにあって、あぁやっぱりなぁとせつなくなりました。
このシリーズで。
神社に行くのは「本当の自分に立ち返ることができるからだ」と書きました。
それもまた「求めて」行っているのではないですか?と言われるかもしれませんが、それは少し違うのです。
どう違うのかというと「自立」しているかどうかです。
お釈迦様が最後に言った言葉で「自帰依自灯明」というのがあります。
これは「自らを拠り所としなさい」という意味です(次に「法帰依法灯明」と続くのですが話が脱線するので割愛)。
お釈迦様が亡くなる際に弟子たちが「あなたがいなくなったら僕たちこれからどうすればいいんですかぁぁ~ウエーン!」ってなって言われた言葉です。
お釈迦様や神様が、そして神様がいる聖域が大いなるものだからと言って、甘えたり依存してはならないという教えです。
自分を信じなさい、自分で立ちなさい、と。
厳しく言うならば、神社さんにレジャー感覚で「願いごと」をしに行くのは甘えです。
しかし、潔斎までいかずとも、事前に入浴をして身ぎれいにし、清潔な衣服を着て、神社さんが求める儀礼を守って参拝し「ありがとうございます」とお伝えするのは、自らを立たせた上での正式な儀式です。
身体を清め、我欲を叶えるために行くという心の穢れを祓ってから、感謝をするために望むのが参拝です。
そうでないと、穢れを置いてきてしまうのです。
(細心の注意を払っても置いてきてしまうのだとは思いますが、少量であり自然浄化の範囲内に努力することが肝要)
聖地というのは、そういうものを吸い取ってくれてしまうのですね………。
でも、それを放置してしまうと、聖地は聖地ではなくなり穢地となっていまいます。
映画『もののけ姫』で神であった乙事主さまがタタリ神となっていく描写を知ってる人も多いと思いますが、まさにあれですね。
結局は、少しづつ得をしようと、貰おう、自分だけが、という小さな我欲が降り積もり、大いなるものが失われてしまうのです。
悲しいですね。
聖地に入らせていただけるありがたい場所ですし、その恩恵を受けてきた身で言うのもはばかられますが。
そのような状況であれば、入山料を正式参拝や祈祷くらいの料金にするとか、入山規制をするのも必要なのかなと。小さく声を発してみる次第です。
ピクニック感覚で入る人を押さえるためにも。
元々禁足地だった場所。
外から眺めて感謝を捧げるだけでも十分な気がしますが、どうなのでしょうか。
あとはお賽銭をある程度の金額にすることや、物を買うのもお薦めします。
参拝させていただいた感謝を、目に見える形でお渡しすることは大事です。
そのお金で、その神社が存続していってくれるのですしね。
利他主義とは最高の合理主義で。
結局、大好きな場所、人、物、素晴らしいもののために働けば、自分を喜ばせてくれるそのものが在り続けてくれる、という結果を生むのです。
そんなことを思いながら、またコロナが落ち着いたら参拝したいなぁ……県外だし、当分むりだなぁ……と、いつもの氏神様にお参りしたのですが。
もう何年とお参りしているのに、木の陰に隠れて気付かなかったものがありました。
なんと、そのお山をご神体とする場所(と、その一体)に向けた遙拝所の柱が立っていたのです。
気付かなかったわたしもわたしやけれども。
イェ~イ、ここから参拝できるよ~♪
ってことでした☆
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神社の話題でお坊さんの作品を紹介するのもアレなのですが、本木雅弘(映画初主演作品)がお坊さんです、監督は周防さんです、原作は「陰陽師」の岡野玲子です。絶対おもしろいと思ったら予想通りおもしろい。1989年制作で30年前のバブリー感も味わえます。めちゃ笑えるお坊さんの世界。うっかり深く良き話でもあります。漫画も含めてお薦めです。
読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪
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