Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

この世で一番怖いこと

緊急事態宣言も解かれ、新型コロナが一旦落ち着いたかのように見え(日本でも世界でも完全には終わってませんが)、経済活動も再開し始めました。

そんな中、どことなく不穏なムードが漂っている感じを受けます。

ニューヨークのセントラルパークで起きた、白人女性と黒人男性の犬の散歩についてのトラブルは人種差別問題にまで発展しました。
ミネアポリスでは、白人警官の暴行で黒人男性が死亡し、抗議デモから暴動に発展して警察署が火災になりました。
また、世界中で家庭内DVが多発したことも話題となりました。

しかしながら、これらの事件は今に始まったことはありません。
男女、人種、職業、あらゆる差別は根深い社会問題です。

この世で一番の恐怖とは何でしょう。
(もちろん人にとって)

それは「未知」であることです。

「知らない」ということでもあります。

知らない人種、知らない民族、知らない宗教。
異なる性別、異なる職業、異なる文化。

ありとあらゆる差別や対立は「恐怖」から起こります。

先に上げたニュースのように、世界の差別の代表的なものって人種だと思うのですが、日本にいるとなかなかその感覚は掴めません。
なんで差別するんだろうって、考えてたのです。

だって単に「違う」だけじゃん?
いや「違う」からか、と。

違うってことは「よくわからない」のですね。
よくわからないってことは、いい方向に働けばもっと知りたいという好奇心に結びつくのですが、悪く働けば未知なるものへの恐怖につながります。
怖いから差別して、その力を削ぐようにする。
自分の「怖い」には蓋をして、相手を排除したり、蔑んだり、立場を落としてこちらに驚異を与えないようにする。
そこが根源的な問題なのだとわかってから、人間って怖がりなんだな。そして、そう思う自分を克服するのではなくて、相手を変えようとするんだな、と自戒を含めた目で世の中を見るように成りました。

女性差別もそうです。
男性から見たら女性ってなんかわかんなくって、怖いんですよね、きっと。
LGBTだってそう。
なんで同棲と恋愛するのかわかんない。
性愛衝動がない人がいるなんて想像がつかない。
わかんないものはキモい、ムカつく、攻撃したい。

人種でなくとも男女でなくとも。
人と人とが意見の衝突から喧嘩をしたり、仲たがいをすることはあります。
けど、話し合えば、その人の本当の心境や状況を吐露し合えば、必ず落とし所は見つかります。
例えば、友人についうっかりキツい言葉を投げてしまったとしても。
実は昨日、親と喧嘩して寝てなくて朝ごはんも食べず飛び出して、八つ当たりしてしまったと言ってもらえれば。
そういうこともあるよね、と許すことだって出来るでしょう。
謝る事もできるでしょう。
友人でない場合だって。
正直に話し合えば相手を理解し、共感することも同意することも仲良くすることも出来なくても、距離を置いて、お互いを尊重するという手段を見つけることだって可能でしょう。

ここには、正直な対話と、理解と、想像力と、許しがあります。

つまりは、知ること、自分の思いを言葉に出して説明すること、理解しようと想像すること、だけがその差別を無くしていく道なのです。
だから、戦争や暴力の反対は「平和」でなく「対話」なのだと思います。

暴力的な人というのは、自分の思いを言語化することが不得意という研究結果があります。読解力も低く、国語力が乏しいのです。
ですから、相手の言っていることを曲解したり、短絡的に発想したり、自分にわかるように説明してくれないことに対してイラつき、攻撃的になってしまうんですね。

ですから。
差別を無くすこと、平和への道の第一歩は「教育」なのです。
算数も理科も国語も社会も学ぶことは、それら自身を学ぶことと同様に、それらを使って自らが未知を知っていくための方法を習得していくことでもあります。
みんな違っていること、を知っていくこと。

悲しいくらいに貧困がはびこり、そこから抜け出せない国や地域というものが存在します。そういったことへの支援活動をしている人たちの共通見解は「まず教育」です。
教育がなければ、この世を公正に見る目(曇りなきまなこ)が育まれないのです。
「○○の国の人は悪魔だよ」と言われても「違う」と思うことが出来ない、反論するという発想すら浮かばない、鵜呑みにしてしまう。
そしてそのままに、嫌悪し憎悪し攻撃対象としてしまう。

この世で一番怖いことは、知らないこと。

新型コロナについても、専門家や研究者が挑んで、正確な情報や回避策が周知されるにつれ、よくわからない不安状態から落ち着いて行動することが出来るようになってきました。
一方で、正確な情報を見ず、不安にかられて恐怖に飲み込まれた人たちは、自分の不安から目をそらすように他者に攻撃するようにもなりました。
戦時中に密告が流行ったように、自粛期間中に自粛警察が流行ったのは、そのような経過からでしょう。

ちゃんと知ること。

それは、政治経済社会情勢などの大きな問題から、隣人や家族や友人といった小さな範囲でも。
恐怖にとらわれず、機嫌よく生きるコツでもあります。

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▼今日のおすすめ
映画『グリーンブック』 監督:ピーター・ファレリー
ジャマイカアメリカ人のジャズ・ピアニストと、その運転手兼ボディーガードをしたイタリア系アメリカ人の実話を元にした友情コメディ。無意識の差別や、差別の中の差別、アーティストを嗜みとして絶賛しながら蔑む上流階級の欺瞞。たくさんの事がテンポ良く明るく笑いながら、深みを携えて描かれた名作です。ここでも正直な吐露は鍵と鳴ります。この時代から60年経っても問題は変わっていないことが沁みます。しかし希望はゼロではないと、思わせてくれます。

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読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪

 

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