Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

不思議な話3 - 叔父のこと

前々回から引き続き、怪談みたいな話です。
怖くないしオチもないので、夏の夜の恐怖話と読むにはご期待に添えません。

まだわたしが大学生だった頃、叔父が入水自殺をしました。
かわいがってもらっていたし、ややこしすぎる親戚陣の中で唯一くらいの明るく楽しく話せる人でした。とても残念でした。
小さい頃、親戚の集まりがイヤでイヤで仕方なかったのですが(しかし子どもに拒否権はない)その叔父がいると、場がいくらかマシになったものでした。
そういう人に限って早くいなくなってしまうもの。
早世でした。残された子どもも小さくて。

しかし。
寂しいとか残念だとかの気持ちは一瞬で消えました。
まず入水自殺なので警察沙汰なんです。
しかも住んでいた関東の方ではなく、地元である関西に帰ってきてそうなったので、奥さんと子どもさんがこちらに来るまでに時間がかかります。
他のメインとなる親戚も関西。
なのでうちが色々対応せざるをえず、その手続きやらなんやらでバタバタして。
身元確認しないといけないんですよ。
入水ですから、水死体を確認しないといけないんです。
江戸風に言うと土左衛門です。
わたしはただの姪っ子なのでそれはしなくて済んだのですが、想像しただけでゾッとしてしまいました。

その後、お通夜となるのですが、水死体なので腐りやすいんですよね…しかも真夏だったんですよね………。
たっぷりとドライアイスで固められ、叔父の遺体は式場に運ばれて安置されていました。もちろんお棺の窓は開けられない状態で。

お通夜の後、あまりなじみのない親族と共に、そこに泊まり込んで一夜を明かさないといけなくなりました。
母親は仕事に行きました。わたし、まだ大学生なのに…お通夜とかお葬式とかのシステムわかんないのに………。
それと言うのも、残された奥さんと子どもはもちろん焦燥していてまともに動けるわけもなし。場を仕切る立場の叔父の兄もちょっとややこしい人(うちの親戚ややこしい人9割)で。
来てくれる方の対応とか何とかをわたしがめっちゃすることに。
まぁおかげで、お葬式システムについてわかりましたけどね。

葬儀場は、お通夜からお葬式の一泊二日を泊まり込めるように作られていて、シャワーもお布団も寝るための部屋も完備されていました。
けど。
けどと言うか当たり前かもしれませんが、死体が安置されている場所とふすまだけ隔てて同じ部屋なんですよ。
そして奥さんの希望でふすまを隔てない……さみしいんでしょう、離れたくないんでしょう、わかります。
わかりますが、水死体と同じ部屋………。

(ちなみに。この記事を書くにあたって、叔父とさらに先に早世した父にこんなん書くよと仏壇に手を合わせてお断りしています。)

正直、ひぃぃ……まじか。
って思いながら布団に入りました。

憔悴してる奥さんや、世間話とか一切出来ない叔父などの親戚と、大学生が話すことなどありません。
自殺した遺体と同じ部屋で、テレビをつけてバラエティを見るわけにもいきません。
なので、通常よりめっちゃ早い時間に就寝するわけです。寝れません。
とは言えミッションがありまして。
お線香を絶やしてはいけないのです。
長時間持つように巻きになっているお線香なのですが、それでも数時間ほどしかもたない。絶やしたからと言って厳罰に処されるわけではありませんが、こういう時、人は何かやるべき事がある方がしゃんと立っていられるのです。
交代で見ようという話になりました。

寝れないけれど、布団に入るとウトウトとはします。
お線香のことも死体のことも気になってるし。
年に一度も会わないような親戚の中で眠るというのも慣れないもの。
元から敏感気質で眠りが浅いわたしが、こんな時にぐっすり眠れる筈もありません。

案の定、金縛りがやってきました。

いやこの状況で金縛りとかほんま無理。
無理やて。
当時から金縛りにはよくあっていたので慣れてはいました。
心霊現象とかではなくて、眠りが浅いからと自分の中で結論づけてもいました。

なんかイヤだな~怖いな~~~~~………

もがいていたのですが、なかなか金縛りは解けてくれません。

そのうち、叔父のお棺の方から何かがやってきました。
中肉中背の中年男性で、メガネをして………って、あきらかに亡くなった叔父です。
その様子を、寝ているわたしに近づく叔父を、ちょっと離れたところから見てるわたしが見ていました。
叔父は寝ているわたしの耳元にぼそぼそと何かを訴えかけています。
ずーーーっと話しているのです。
何を話しているのか、話し声は聞こえるのに言葉がうまく聞き取れません。

不思議と怖くはありませんでした。
けれど、勘弁してくれって思いました。
なんで、わたしやねん!?
とも思いました。

しばらくして、金縛りが解けました。
もちろんそこに叔父の姿はなく、わたしもわたしの身体に戻っていました。

それだけの話。

夢だったのかもしれません。

けど、自殺するって大変なことだなと思いました。
囚われてしまうことなんだと。
あんなふうにずっと、自分のことを誰かにわかってもらおうと、なにかを弁明しようと、ぼそぼそぼそぼそと話し続けるようなことになるんだと。
それが霊なのか、意識体なのか、エネルギーの残りみたいなものなのか、わかりませんが。

どんなにもしんどいことがあっても、自殺だけは何とか回避した方がいいな、と思う出来事でありました。

私信:
ありがとう叔父さん。
水死体とか土左衛門とか言ってごめんやで。

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▼今日のおすすめはお休みです

読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪

 

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