全知全能の救い主とか必要？

誰か。
宇宙の遥か彼方から、高度に発達した文明を持つ存在がやってきて。
地球の環境を整えて、植物と生物を生み出し、人類を発生させて。
その進化を見守っている。
SF的に言うなら宇宙人だし、宗教的に言うならば神という存在がいる。

人類が思いつく、進化に必要な発想や知恵は、すべてその存在からもたらされたもので。
自主性を重んじながらも、良きように進むよう最低限の干渉を保って見守っている。

最初に神がいて。すべてを創造して。
ある時、復活して、人類をより良い未来へ導いてくれるのだと。
キリストしかり、弥勒菩薩しかり。

そんな、共同幻想のような古い物語が人類という河の深いところに脈々と流れている。

けどさぁ。
と、思う。
なんか、何もかもが神様的な存在の手のひらとか悔しくないですか、と。
人類を進化させるような画期的な発明も。
日常レベルの、家事効率アップ☆みたいな思いつきも。
なにもかもが上の存在みたいなものからもたらされるとか。
そんなの、なんて、おもんない人生だろうと思う。
ある意味、悔しい。

まるで、暴れまわって地球を一周して、それでも気が付いたら全部はお釈迦様の掌だったと気づいた西遊記の孫悟空（ドラゴンボールではない）のようかもしれないけど。

苦労して歴史を重ねて。
一人一人ももがき苦しんで、ようやく自分の人生がしっくりくるようになったり、孫に囲まれて中々良い人生だとしみじみした時に。
急に救世主みたいなのが現れて救いますよと言われましても。
いやぁ、われわれもそれぞれ自分で頑張ってきたし、別に救っていりませんけど？と思うんですがいかがでしょうか。

人間は弱いし。
心や身体が落ちてるとき、すべてを救ってくれる存在を求めることもあるし。
あらゆる選択に正解を選んでくれるような人がいるなら、すべてをゆだねたいと思うことだってあるし。
そんな時に、いつかそういう存在が現れるのだと未来への希望を指し示すのはわかるけど。
いや。
生きてるだけで地獄のような過酷な国や、環境や状況に生まれ、個人ではどうしようもない濁流に流されるしかない人生の中では。そういった宗教なしには生きることは困難だろうと想像することはできる。

けれども、あくまでもわたしの思想は甘ったれた平和な日本で育まれてしまったものだから、想像しかできなくて。そしてそこでしか発想できないことだってあって。

人生の舵を他人や神的存在に握らせてしまうのは、せっかくこの世に肉体をもって生まれた命への冒涜な気がする。

例え下手くそな人生でも、不正解だらけで失敗続きでも。
それでも自分で選択して自分で行動したっていう生々しい生の方が、ぎらぎらと熱を感じるように思う。

ある時、一瞬だけ。
メンターのような存在がいて。
困ったときに相談したり、目的に対して良きステップをアドバイスしてくれるような人。
その時のわたしはとても弱っていたし、先の展望が見えなかった。
だから。
あぁこれで。
何もかもを一人で背負いこまずに、困ったら相談する人が現れた。いつでも先を見通して、道を指し示してもらえる。
と安心感で満たされた。
けど、本当にそれは一瞬だけのことで。
すぐに、そのアドバイス通りに行動することに拒否反応が出た。
どんなに失敗が見えてても回り道だとわかってても、自分が疑問に思うことや今やりたくないことはできない。
人から言われたとおりに行動して何かを得ても、目的を達成しても。
なにか意味があるのかな？と。
結局、その人は察しが良くて霊感的な意味で「視えるし、読む」人だったので。あちらから関係を切ってくれた。

このことからつくづくと。
自分の舵は自分で取るしかないんだなと。
人に指示された通り行動するの無理なんだな、と。

気が付いたら、困ったときに相談できる人はその都度周りにいて。
この相談はこの人、あの困りごとはあの人に。
意見を聞いたり経験値を分けてもらったり。
弱音を吐かせてもらったりして。
もうそれで十二分に甘えたり頼ったりできて。
それでいいじゃん、と。

それでも気分が滅入ったり、自分に煮詰まったりするときは、そういう全部を解決してくれる存在を求めたりするけれど。
元気が回復するとケロっと忘れる。

だから、誰か救い主（的な他人）を求めるよりも。
自分が元気で健康であることに注力する方が、ずっと健全であるように思う。

そして、日本人だと当たり前に与えられてきて、特別なものだと意識することもない「教育」。
字が読めることも、自分で学んでいける基礎学力があることも。
教育が与えられない世界で搾取され続ける人たちを見ると、そのことの大きさが響いてくる。
改革も蜂起も、逃げ出すことも自立することも。
教育なしでは成せない。

教育がないと、苦しみからの解決方法がわからないままだから、救い主を求めるしかなくなってしまう。

元気で。自分で考えて学んで。必要があれば誰かに頼って。
それだけの、シンプルな強さを。
持つことができればいいなと思う。

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▼今日のおすすめ
『アミ小さな宇宙人』作者：エンリケ・バリオス
今日書いたみたいな、人類を見守る宇宙人的存在が出てくる本。SF的に読むも良し、啓示に読むも良し。今回これに書かれたような物語を否定したわけですが、こういうのを読んだからこその自分の考えが浮かんだし、示唆も多く話としてもおもしろいのでおすすめです。前にもおすすめしたかも。