この、素晴らしき世界で

先日、誕生日を迎えまして。
45歳になったんですけどね。

自分で言うのもなんなのですが、感受性が相当に豊かでして。
幼少期から物事の捉え方が人と違っていたのですが（本当はみぃーんな違うわけですが）、それを押し通したり、自分の感じ方が正解（自分にとって）とは全然思えなくて。
だから相当な年齢になるまで、だいたいのことは他人が正しくて自分が間違ってるって思ってたんです。
感受性が豊かだからこそ、社会的な刷り込みを素直に受け入れてしまう部分もあるんですね。
なので、世間的な考え方を丸呑みしながら、でもずっと違和感を抱えながら生きてました。
正直、23歳（つまり大学卒業した時点）で終わってるなって思ってました。
あぁこれで「若者」ではなくなったなって。
29歳になるときは、ふるえちゃうくらいに病むくらいに未婚の自分、何者でもない自分を蔑んでました。
誰からも必要とされない何も成してない人生だった、と。
でも30歳になったその瞬間に心も身体もその呪いから解かれました。
楽ちんになりました。
30歳になっても生きてたし、人生終わってもなかったから。

でも長年蓄積した違和感とか呪い（結婚出産してないとか、世間的成功を手にしてないのは負け組とかそういうの…古いな）が心身を病ませたのか、大きめの病気にかかって。
大きな会社の歯車ストレスでも起き上がれなくなったりして。
そこから心も身体も健康になろうと一念発起して、ピンとくるありとあらゆるものに取り組んで。

健康になってみたら。
年齢とかはただの数字で。
あくまでも目安で。
同じ年齢でも個人差がものすごく大きくて、それは歳を重ねるごとに顕著で。
結婚も出産も仕事も、国籍も人種も性差も、思想も哲学も宗教も。
それがなんであろうと、何を持っていようと、何が欠けていようと。
その人のしあわせには関係ない。

しあわせっていうのは、自分の中の深いところからあふれ出してくるもの。
湧き出して、汲めども汲めども枯渇することのない、聖なる泉。

そんな風に自分の人生やしあわせを感じるようになって。
誰かにしあわせにしてもらおうとか、何かを得たらしあわせになれるだとか、しあわせになるために何者かになるだとか。
そういうの、全然違ってた。
と、まだまだ視野は狭いけど、当社比で昔よりは広い世界を見れるようになって。

とくに何にもない一日でも。
空を見てもベッドカバーを見ても、お茶を飲んでも靴をはいても、なんでもないやりとりを人とオンラインでしても。

なんかしあわせだなーーーーーーーーーーー。

って、テンション高くも低くもなく。
じわーーーーーーーーっと感じる。
ふふふ……とニヤついてしまう。

わたしが小学生の時（時は昭和）考えてた45歳なんて、サザエさんで言うならフネさん（52歳）が一番近いわけですよ。
今と時代が違うとは言え、完全におばあちゃんじゃないですか？
でもなってみたら全然違った。

そして20代の頃さんざん言われた
「遊べるのは今のうちだけ。そのうち、一緒に遊ぶ友だちもみんな結婚していなくなるよ、さみしいよ」
も全然違った。
この年まで、遊ぶ友だちがいなくなったことは一度もない。
喧嘩したり、自分の調子が悪くて周りから人が離れてしまったことはあっても、色んな年齢のいろんな立場の友だちや仲間が常に周りにいてくれている。
結婚しても出産しても、友だちは友だちのまま。

みんなが言ってたこと、社会が伝えてきたこと、全然違った。
意味ない。
そんなものに囚われてるの、ほんと時間の無駄。

もっと早いうちに、そんなこんなに気づけたら良かったけど。
まぁそれがわたしの成長速度だから仕方ない。

これから何年生きるのか、だいたいわかってて。
人生上がったり下がったりするだろうけど、これまで味わってきたようなどん底は、二度と来ないのも知ってて。
例え来ても、浮上できる自信と確信がある。

しあわせを感じれるからこそ。
恵まれてることがわかるからこそ。

何をしていけるのか、何ができるのか。
いつも自分に問いかけてる。

木に緑があって。
薔薇が赤くて。
空が青くて、雲が白くて。
虹がかかり。
友人たちが握手を交わし。
赤ちゃんが笑う。

この、素晴らしき世界で。

Louis Armstrong - What A Wonderful World (Original Spoken Intro Version) ABC Records 1967, 1970