Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

自由の風

自己肯定感なんてゼロだった時代に、二度だけ、これは自分を褒めてあげても良いなと言うか、なかなかええやん?と思えたことがあった。
それは、漫画で賞をもらった時でも、誰かと好き同士になれた事でも、踊りで海外に行けたことでもなくて。

一度目は一人暮らしを始めてから何年か経った時。
電気水道ガス代、家賃、食事代、税金、生活の諸々、趣味や遊び、全部を自分で働いた自分のお金で賄えて生活できてるんだと実感した時。
やっと大人になれたんだと、自分の生命力みたいなものを感じて。
よくここまで来たな、と思えた。

二度目は、初めて一人で海外旅行に行った時。
カンボジアシェリムアップで、トゥクトゥクオート三輪のリキシャ)に一人乗り、何時間かかかるアンコールワットよりも郊外にある遺跡に行った時。
その道中。
車と違ってトゥクトゥクは、屋根はあるけど四方は完全オープンになっているので、めちゃくちゃ風を受ける。
舗装なんてされてない土の道だから、土埃がすごい舞う。
サングラスをして、口元をショールで覆って、運転してくれてるカンボジアのお兄さんの背中と、赤い土の道と、広い平面の土地と、まばらに生える木々とが視界にあって。
風を、どんどん受けて。
この時も。
あぁ、やっとここまで来れた、と感じた。
自分の稼いだお金で自分で海外に来て、一人で、さっき知り合った異国の人と時間を共有して、初めての匂い、初めての景色、初めての風。
そんなことが出来るようになったんだ、と。

その二つは。
漫画とか踊りとか恋愛と違って、やりたくてやったことじゃなくて。
ただただ人生をよちよち歩いてきたら、辿り着けてた場所で。
失敗ばかりで鬱々とした人生だったけど、なんとかかんとか生きて、大人になれて、自活して、海外に一人で行けるまでになったんだな、という感慨にも近い。

あの感覚は、これから先はそうそう味わえないだろうと思う。
きっとあの時ようやく、なんとか大人になれて。
そして、やっと自由を掴んだんだと思う。
自分の責任で自分の行動を選択出来る、自由。

幼少期はもちろん、大学生であっても。
そして人によっては社会人になっても。
行動も選択も親によって制限される。
心の中の思想もまた、親からのものが強く残っているし、親との相性によっては無自覚に苦しめられ、親と子の同一視が根深く残り、親離れ子離れが難しく時間がかかる。

でも、そこから開放される手段は、この世には結構ある。
そして、一般的な家庭に育った人より少し遅くなったとしても、自覚し、そう願って行動すればいつかは開放がやってくる。
その時、ようやく、適正な自己肯定が得られる。
低くも高くもない、素の自分への肯定。
それは、賞とか称賛とか順位とか成功とかじゃなくって、人からの相対評価じゃなくって、自分の心の中だけで行われる、絶対的な評価。

その時、風が吹くように思う。
自由な風。
等身大の自分を、なんかええやん、って思えた時。
風が吹く。

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読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪

 

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