Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

愛を乞うひと

心がカラッカラに乾いて砂漠みたいになっている人が、自分で自分を潤すのは本当に難しい。
ましてやそれは、若い時にはなおさらに難しい。
世界が狭くて自分自身に集中しすぎるし、知見も知識も経験もないから、潤す方法もわからない。
そもそも乾いている人が乾いていることを自認できるかどうかもあやしい。

心の乾きが何で潤うかというと「愛」ともいえるけど、もっと端的にいうならば「人にやさしくされた経験」だ。
愛といっても、古代ギリシャではアガベー(神の愛:無償の愛)にエロス(恋愛)、フィリアー(友愛)にストルゲー(家族愛)の4つに分かれる。
でも、ともかくは何でもいい。
もちろんアガペーであれば、後々こじれたり、喪失したりする可能性が低い。それは本物の愛だから失うこともこじれることもないのだとも、言える。

けれどそんなアガペーであってもこじれさせ、喪失させてしまうのが、心の乾きというものだ。

心が乾いているとは、愛が枯渇していることをいう。
人にやさしくされたことがない(充分でない)人は、心のタンクが空っぽだ。
多少やさしくされたくらいではタンクは満たされない。ギュンギュンと吸い込むが、溜まってくれないし、またすぐ枯渇する。
カラッカラの砂地なのだ。
コップ一杯の水をそこに注いでも、たまることなく吸い取られ、すぐに蒸発してしまう。

満たされない。
常に、身体が、喉が、乾いている。
水(愛)を欲している。

そんな状態で、正常に物事や人を見たり判断したり出来るわけがない。

例えば、仕事で。
嫌味も何もない上司から「ココをミスしていましたよ。次からはこうしてください」という会話があったとする。
もうそれは、単に部下としては「はい、わかりました。次から気をつけます」の返事で終わる話。

けれど、心が乾いていると。
そこにいろんなフィルターや、憶測や、劣等感、自己肯定感の低さが絡み合って。

自分は会社(上司)に必要とされていない。
仕事ができないダメな人間だ。
嫌味ったらしく指摘してきやがって。
同僚のAさんと比べているに違いない。
○○大学卒だから(あるいは高卒だから)こんなに指摘を受けるんだ。

なんて。
ありもしない妄想が、そこに乗ってきて、事態をややこしくおかしくしてしまう。

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かく言うわたしが、そういう人間だった。
今だってもしかしたらそういう片鱗は残っているかもしれないけれど、生きてるだけで苦しいという感覚はもうないので、まぁ過去形でいいと思う。

心が乾いた人は、とてつもなくめんどくさい人間である。
相手が何の気無しに言ったこと、したこと、環境、すべてをねじれた角度で悪い方向にしか受け取れないのだから、この世はそりゃあ生きてて苦しいのだ。

でも、自分のことだからかばってあげたいのだけど、その人のせいじゃない。
小さい時に「あなたは生きてるだけで最高なんだよ」「もうただただ大好き」というものを与えられなかった、もしくは不安定にしかもらえなかった環境がそうさせたのだから。

愛をあたえられなかった人は、人に愛を与える方法を教えてもらえていない。
だから、親から子へ、先祖から子孫へ脈々と受け継がれてしまう。

でも、そういう環境のせいだと憎んでも恨んでもスネてもいじけても、何にもいいことなんてない。
世界も他者も動かない。
苦しいのなら、この世が地獄だと思うなら、それがイヤなら、自分で動かないといけない。

で、どうしたらいいかって。
それはやっぱり、他者へ愛を与える、という行動しかない。

いやまって。
無理だって。
枯渇してるって言ってるじゃん。
与えるような愛なんて持ち合わせてないんだって。

そう、なんだよね。
わたしも苦しい苦しい若い時に、そんな風に諭されたり、本で読んだりして思ったもん。
無理。
愛されたい。

「愛されるよりも愛したいマジで」

なんて歌があったんですが、そんな歌詞、ぜんぜんわからん!
となってましたもん。

しかもできたとしてもその愛はたいていが恋愛で、恋愛とは欲でありエゴなので見返りを求めるし、そのほとんどが喪失を伴う。友愛であっても似たようなことが起こる。
そして、余計に心が乾いてしまう。

砂漠で水を欲している時に、甘い甘いコーラを与えられ、その時は良くても、後からそれまで以上の渇望を感じ、余計に乾いてしまうように。

ちゃんとした「水」じゃないと、本当には満たされないのだ。

無理。
無理なんだけど、やるしかないのだ。
他者に愛を与える、やさしくする、しかないのだ。

ちょっとでいい。
ちょっとづつでいい。

目の前の人にやさしくするのがしんどいならば、例えば千円、どこかに寄付する。
電車で席をゆずるよりも、その方が簡単。
数字を操作するだけ。
でも、なにかを世界に還元している。

愛が枯渇している人が一番難しいのは、家族とか恋人とかパートナーとか、ごく身近な人にやさしくすること。
だから、それは、最後でいい。

まずは、遠い人とか二度と合わない人で練習する。
もしくは、気が合う友人。あなたを決して否定しない人。そういう人にやさしくすると、ちゃんと「ありがとう」が返ってくる。
そうしたら、ちょっとづつ、心が潤っていく。

それはとても時間がかかる。
けど根気よくやる。
すると、ちょっとづつの小さいことならあたり前にできるようになってくる。やってることさえ忘れるようになるくらい。
そうしたら、いつの日か、心の砂漠が潤ってることに気づく日がきっとくる。

で、やさしくするってどうすればいい?
それの最初の一歩は、とにかく「ありがとう」って言うこと。

お恥ずかしいが、若い時のわたしはそれすら出来てなかった。
そのことを教わった時、ハッとするくらい「知らなかった」のだ。
人にありがとうと言うことが、どんなにも大切なことか、教わってこなかった。

あたり前じゃん?
と言える人。
そんなあなたは、ちゃんとした環境に育った恵まれた人です。
ぜひ、その水分がフルタンクなことを生かして、さらにもっと人にやさしくして、世界にガンガンと水をまいてやってください。

この「ありがとう」って言葉を発する力はすごい。
まず短い。5文字で済む。
お金も労力もなにもかからない。コスパ最高。
無敵のパワーワードだ。
もちろんあまりにも酷い言い方だと機能しないけど、そんな場合の方がレアだ。
普通でいい。無駄に感謝の感情ものせないでいい。
淡々と普通に言うだけでいい。

家庭で、職場で、スーパーで、コンビニで、ありとあらゆる場面で口癖にしてしまい、一週間もやってれば、明らかに世界が変わる。
「ありがとう」と言われることがガーンと増える。
そうすると、満ちてくるのだ。自分の心が。

しつこく言うが、乾ききった心を本当に満たすには時間がかかる。
けど、あれ?これ、効くんじゃないか?
って実感は3日か1週間で感じると思う。

ちょっと話がそれるけど。
家庭で、職場で、恋人と、友人と、仲間内で、ちょっと仲違いや喧嘩した時にも効く。
謝るのは違うなって場合にも、謝りたくない時にも「ありがとう」で話しかけてみる。ありがとうと言えるポイントを探ってみて、そこに感謝を伝える。
そうすると、あちらも態度を軟化させて、いい感じに話し合いができたりする。

「ありがとうって言おう!」みたいな、うすらやわらかい変な宗教や偽善めいたものは苦手だけど、まぁ結局言ってることは同じになる。
仕方がない。

繰り返すが、コスパがいい。
簡単。
そして割とすぐに効果がわかる。
嫌なら瞬間でやめればいいだけ。

なんの損もない。

ほんっとになんの損もないのだ。

というわけで、おすすめなのである。

昔は愛を乞うひとだった。
乞うてばかりだった。

でもある程度満たされて、ようやく平静に周りを見渡したら。
わたしが「ありがとう」とか意識して言ったりする前から、周りの人がわたしに愛を注いでくれてたことが見え始める。
こじらせてたフィルターが消えて、ちゃんとそれが見えるようになる。
それによって、わたしの心の乾きを埋めていってくれていたのだとわかる。
そこまでくると、循環が目に見えるようになって、どんどん水が流れ込むようになる。

えらそうに言えるような人間じゃないけど。
わたしが人生を楽しくするために、あるいは地獄から脱するためにやってみた行動の中でも、超絶イージーな方法です。
お試しあれ。

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LOVE LETTER  

本日は下弦の月
大阪は桜も散り、雷も鳴って春の嵐となりました。
さてさて動く季節の到来です。
なにをしますか。
あなたの大切な人生の時間を、一体なにに使いますか。
新月までの一週間、そんなことを冷静に考えるのに適した一週間となります。

読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪

 

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りゅうとむすめ

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