かみごと（神事）にたずさわるということ6 – 奪われるか与えられるか

かみごとにたずさわる資質、透明度。
そのことの自覚と開花のタイミングが、ギフテッドのように早かろうと、サバイバーのように遅かろうと。
かみや精霊を感じる時に、やることは同じ。

耳を澄ますこと。
よく、聴くこと。
雑音に意識を取られないよう、純粋な声や音だけを拾うように。

あるいは、目を凝らす。
たくさんの靄がかかる。
頭が作り出す妄想の色彩や映像の、その先、自分ではない何かが見せる、その光景を、見る。

匂い、であったりもする。
温かみ、を感じたりもする。
味……は感じたことがないからわからないけど、あるのかもしれない。

音楽の人なら音楽が聴けるだろう。
絵描きであれば絵が見えるだろう。
舞手であれば身体が動かされるだろう。

つまり、かみごととは、アートなことが多い。
この、資本主義や経済が回る事を主とした社会では、直接的には貢献しないとされているもの。
けれど、わかっている人はわかっている。
人間は、そういうものなしでは生きられない。
もっと言うと、しあわせには生きられない。
美しい花を愛でる時間を持てない人は、どんなにお金があろうと不幸だ。

特定の宗教にたずさわったり、前世が視えたり、魂の正体がわかったり、そういった占いや霊視やスピリチュアルと言われるジャンルの仕事だけが、かみごとではない。
日々、目にしている、耳にしている、多彩なアート、創作物がそれであったりする。

最初は自我から創っていた人も、その道を進めば進むほど、自分ではない部分が動かされていることに気づいていく。

自分の一部分が透明であるということは。
自分の一部分が自分のものではないということ。
あるいは、特定の時間、自分をほとんど全部、何らかの存在にごっそりと明け渡してしまうということ。
直接的に会ったことはないけれど、自我のようなものが持っていかれた人もいるだろうと思う。

悪の方向のそういった存在は、その機に、乗っ取ろうとする。
そういった存在のベクトルは簡単に言うと4方向にあって、神と悪魔があるとすれば、両者にはそれぞれ上位と下位がある。
大いなる天照大御神がいれば、小さくかわいい花の妖精がいるように。
大悪魔サタンがいれば、妖怪小豆洗いがいる、そんな感じで（小豆洗いが悪なのかはちょっとよくわからないけど）。
まるでファンタジーなんだけど、この世なんてファンタジーなんです。

ともかく、悪は奪おうとする。
神は、与える。
人間と同じ。
素敵な人は何かを与えてくれるし、なんか嫌だなって人はともかく欲しがる。

そこはとても、気をつけなければならない。

昔、気になる神社が出来て。
何度か足を運んで。
その時、どうしても叶えたい事があって、お願いをした。
その願いは、数ヶ月の内に叶えられた。
すごいな、と思ったのと同時に、これは良くないな、と感じた。
なので、しっかりとした金額と共にお礼参りをちゃんとした。
こういうことは等価交換なので、変な形で奪われてはまずいなと思って。
その叶った願いは一過性のもので、形を成した後は波にさらわれる砂の城のようにすぐに消えていった。
今となってはさらりと消えていってくれて、良かったと思う。
そんな風に叶ったものは残らなくていい。
変な因果を作ってしまうことになるから。
そこから、神社で願い事は一切しなくなった。

昔から、あぶく銭はみんなに奢ったりして振る舞って、パーッと使った方が良いと言われてる。
本当にそうで。
何の努力もなく、積み上げたものもなく、ラッキーだけで手に入ったものは、世の中に還元して手元に残さない方が良い。
結果的に、そのことがより福を招くタネ銭のようなものになる。

悪は、まず与えて。
人間の、もっともっとという欲を引き出して。
そうして、奪う。

善き存在は、ただそこにいる。
おしみなく、愛をあふれさせている。
気がつくことさえ出来れば、誰もがそれを受け取れる。

けど、それを自分の中に溜め込んではいけない。
自分だけのものにしてはいけない。
滞らせてはならない。
自分もまた、受け取ったものを誰かに渡し、循環させなければならない。

それをしていると、無限に受け取ることが出来る。

続きます。