受肉する - 地水火風空
大宇宙の中に、ふ、と。
なにか、意思とか意図みたいなものが忽然とあらわれて。
それはただ、引き込んでいく力だけがあって。
それはまるで、綿あめをつくるときの、木の棒のようなもので。
くるくるとまわしていくうちに、まわりのふわふわとした飴の糸がその棒に絡まって、どんどん大きくなって、途中でポンポンッてして、ちょっと形ととのえて。
キレイに美味しそうに、大きく大きくしていく。
そんな風に。
人智じゃ及ばない、ダークマターと呼ぶしかないようなそれとか、量子と言われているものだとか、あるいはすべてを形成する、なにか、一つでありすべてであるみたいなものが。
くるくるとまわる、ただ引力を持つ意思みたいなものに引き寄せられて。
巻き取られて。
まず、核が構成される。
その核は、なにか形があるわけでもない。
手に取れるものでもない。
ただ、意思みたいなものをちょっとだけ具現化したもの。
それがちょっとづつ、だんだんと、「形」を成していく。
そのうち、気がつけば「地」と言われるものがこの世に現れる。
まだまだやわく固定化されていない「地」は脈動し、蠢き、そのうちに血を吐くように「火」を生み出す。
それは血液のように地を巡り、どんどんと地をまぜ合わせる。
オノコロオノコロ。
オノコロオノコロ。
ぽつり。
と、最初の一粒。
かきまぜられ熱くなった地表と炎の上に、「水」がもたらされる。
豊穣の雨が降る。
熱い火と、冷たい水がおたがいにふれ合うと、じゅわっとスパークが起こる。
大気がうねりにうねる。
そうして、「風」が生まれる。
くるくるくると地表を覆い、流れを生み、水と共に地を冷やしていくと、地は表面を固くして火は地の内側で燃えるようになる。それでもおさまりきらない火の活性はところどころで血のようにを吹き上げ、どくどくとたれ流され、また水と風に冷やされて、固まりとなる。
そうこうしているうちに、長い長いこの活動の中でのたぶん一瞬。
安らいだ、ように見える時が訪れる。
まるで細菌のように小さな生命が生まれ、その地表を、海中を、生を謳歌し始める。
見上げると「空(そら)」がある。
気がつくと、そこかしこに「空(くぅ)」がある。
まるで、この最初の始まりと同じように、おのおのに意思があるかのように感じている生命体の中にも「空(くぅ)」がある。
まず意図があり。
胎内で、人は受肉する。
受肉は地であり、それは火のような血液と水を身体で巡らせ、動くこと生きることで風を生み、息を吐き、それぞれが空を内包する。
ただ、偶然。
けれど必然として。
たまたま、ここに受肉して。
たまたま、ここに地球がある。
その、意思のようなものは、核のようなものは、丹田くらいの位置に座しているようだ。
それはまるで願いのよう。
「そのように、在らせてください」
誰かの、なにかの、そんな願いが今も腹の裡にたたずみ、われわれを存在たらしめる。
毎日、朝起きるとやかんでお湯を沸かす。
まるで儀式みたいになっている。
与えられた土地の上、わたしは火をつける。
それは水をお湯へと変えていく。
そのうちにぐらぐらと空気が踊りだす。
風が起こる。
それは上昇して、まるでなにもないかのような空へと拡散していく。
「地、水、火、風、空」
その様子を確認するかのように唱えて、火を止める。
仏教ではこの五大要素で宇宙が成り立っていると考えるらしい。
言うなれば、宇宙の仕組み、宇宙そのものの真言だ。
何か意味があるわけでもない、この儀式を。
なんだか毎日やってしまう、今日このごろです。
LOVE LETTER ♡
満月。
生きているから、世の中の動きも大事だ。
けれど、自分のリズムが何より大事。
自分のリズムを何より大事にしていると、大切な人とのリズムも調和するし、他者によって少々乱れることも、それはそれで新たなジャズセッションのようなグルーヴを生み出す。
ちょっと浮かれた気持ちが満月でピークになり。
また、沈静化へと向かう。
毎日一緒じゃない。
世の中も、周りの人も、自分も。
読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪
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