Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

言語の話2 - 自分を深め、更新する

言葉について、言語について。

『メッセージ』というSF映画において、キーとなるのが言語でした。異星人とのコンタクトに選ばれたのは言語学者。言語という捉え方からして異質な者とのコミュニケーションを、相手の言語を理解していくことで可能にしていく。

ここで「新しい言語を習得することは、違う人間に更新されるということ」という言語学の認知を知りました。
ややこしいので異星人の話からは離れて。
他の国の言語を習得するということは、単に文字情報を操るだけではないのだと。
物事や世界の捉え方、文化的背景、民族の歴史、それらが詰まっているのが、その国(あるいは民族)がもつ言語。
言語を学ぶということは、それらすべてを身の内に入れるということ。

この話を、周りのバイリンガルトリリンガルの友人知人に聞いてみたら、全員が同意していました。
日本語を話しているときの自分と、多言語を話しているときの自分は明らかに違うと。

例えば。
日本語を話しているときは、とても優しく思いやりを持ち、配慮をし空気を読み、自己主張は控えめになる。一方で何か少し息苦しい感じもする。
英語を話しているときは、何を伝えるにも私はこう思う・考える・行動するが最優先。そのため、自分が常に何かを決めた状態で話していくことになる。ある意味ちょっと冷たい、強さが出てくると。

インドネシア語を少しだけ学んだのですが、この言語はとても明るくて大らかで、寛容さがあるように思います。ゆるい、とも言える。
これはもちろん、少しだけ理解しているわたしの認識。もっと深く学べば違う印象も出てくるでしょう。

そしてこれらの認識は母語が違っても(つまり出身国が違っても)似たような印象をみなが持っていました。

前回、言語とは自己認識・思考・アイデンティティそのものに近い、と書きました。
それは同時に、国や民族のアイデンティティとも同じだと言えます。

他言語を学ぶということは、今までとは違う考え方や思考を身に着けるということなんですね。

このことを知っていた、Aの話。
ある日、恋人が外国語レッスンに通うと言い出しました。
Aはその瞬間に別れを予感して恋人に言いました。
「あなたはこれから違う人になる。いずれ自分の元から去るだろう」
恋人はAが何を言っているのかわからず、なに言ってるの?とだけ返しました。恋人が新しいことをすることに、狭い嫉妬心を起こしているのかな?くらいにしか思ってなかったのです。
けれどそこから何年かの時が流れ。
結局二人は別々の道を歩むことになりました。
その時にようやく恋人は、Aが言った言葉を思い出しました。
そして、外国語を学ぶ前の自分と今の自分が、まるで違う人のように思えることに、ようやく気づいたのです。

他言語を学ぶことは、新たな切り口と世界観で自己を発見し、認識し、再構築していくことです。
また、母語への理解を深めることは、自己と世界を見る目を深めていくことでもある。

生き残るのにも。
快活に、楽しくのびのびと生きていくにも。
本当の意味でのしあわせでいるためにも。

自分を的確に知ることが土台。
それには、言語というものをより深く学んでいく、知っていくのがとても有効で、そこでやっぱり良いとされるのが読書なのです。

人生にはいろんなことが起こるから。
どんな読書家でも、本を読めない時期もある。
だから、もし読める時間があるのなら、なるべく読んだ方がいい。

特に学生時期は、長編をまとめ読みするのに最適だし。
前回書いたけど、言語というものへの認識が土台ができる12歳頃までに、いろんな分野の本や、美しい言葉の文学を読むことは、世界を美しいものだと捉えれるかどうかがかかっているように思う。
教育水準も言語への理解が土台となる。

本を読むこと。
一生涯かけて、推していきたい最良の行為の一つです。

▼今日のおすすめ
映画『メッセージ』監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
小説『あなたの人生の物語』作者:テッド・チャン

前にも一度おすすめした、近年の良作SFの一つ。原作者のテッド・チャン言語学に造詣の深いテクニカルライターなので、そういった切り口もまた世界を広げてくれます。 

メッセージ (字幕版)

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あなたの人生の物語

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 読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪

 

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