Eri Koo Blog

元気があればなんでもできる学習帳

ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」

先週4月11日にEテレで放送された
ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」』
地球民全員必須視聴の内容だったので、私見も交えながらシェアします。いつもの3倍、記事が長くなります。
先に言うと、本日4月15日(水)の深夜24時から再放送しますので、興味がある方はぜひ。

こんにちは。
Eri Koo (エリ・クゥ) です。

この番組です。

www.nhk.jpNHK受信料を払ってる方は無料で「NHKプラス」からも視聴できますよ。

日本バージョンとも言えるこの回も、相当面白かったので、また次の記事で書きます。

www.nhk.jp

お話を聞くのは世界を代表する知性3名。イスラエルからユヴァル・ノア・ハラリ(代表著書「サピエンス全史」),米からイアン・ブレマー(「スーパーパワー ―Gゼロ時代のアメリカの選択」),仏からジャック・アタリ(「ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!」)。
それぞれ各分野、第一線の学者、政治顧問、ベストセラー著者です。
折しもわたしは「サピエンス全史」を読みたてほやほや。
あまりに興味深い内容に、会う人会う人に読め読めと内容を解説しまくっていたので、タイムリーでもありました。

(以下、引用部分は各々が語った言葉に沿いながら、要約・意訳しています。)

<イアン・ブレマー氏>

アメリカがリーダーではなくなった今、リーダー不在の世界で、国が個別にパンデミックに対応している。
世界は分断されている。
欧米や日本はいいが、貧困国は乗り越えられる体力がない。世界中で格差が広がる。
ハイテク企業は生き残り、店舗型は倒産する。

グローバル化の反動として「分断期」が来ると、多数の学者が口を揃えて伝えていましたが、まさに今パンデミックに伴って目に見える形でやってきました。
911の時、ブッシュ大統領の支持率は史上最高の90%まで跳ね上り、アメリカだけでなく世界中が反テロへと一致団結して向かって行きました。これがグローバルな「統一期」。
その目的が対テロ・戦争であり、全然しあわせな統一ではありませんけど、世界が一つになりかけたような幻想が見えた時期ではありました。それぞの国民は互いに自由に行き来し、移動手段も安価で便利になり、さらには時代を変えた「インターネット」の出現。
それらの時代は終わりを告げ、世界は再び分断され始めました。
日本でさえ、緊急事態宣言や対応は都道府県や街の判断に任され、行き来も自粛が求められています。ここでもまた、小さな分断が見え隠れします。

>インタビュアー「個人で出来ることは?」

毎朝瞑想すること、犬を飼うこと(これは本当にいいアイデアだよ!)。
人間性を失わないこと。
いつもと違うことをすること。
個人レベルで対応していくこと。

つまりは自分自身の心身の健康を保とうと言っています。

瞑想することで直感を磨き、そして常に悔いのない選択が出来るよう、自分自身と向き合っておくこと。
自分を癒す行為(犬や運動や料理など、好きなコト)を持っておくこと。
毎日が同じルーチンになると、人は活力を失います。散歩するのでもいつもと違うコースを取るとか、配信サービスで映画を見るにしても、自分では選ばないものを選ぶとか。そういう小さな「新しい体験」を積極的に日常に取り入れること。

そしてその上で、自分で選択して行動していくことが大事なんですね。

お次は、<ユヴァル・ノア・ハラリ氏>

今回のパンデミックは歴史的転換点であり、経済システムと雇用をより良いものに作り変える、いい機会となり得る。
世界を根底から変える、社会的政治的実権を行うことになる。
ウイルスの流行だけに関心を持つべきではない。
ハンガリーのようにコロナを理由に独裁化する国も出てくる。民主主義は平時には崩壊せず、緊急時に崩壊する。

今回のことで、緊急時に強い職種・弱い職種というものに思いを巡らせています。ブレマー氏の言にもあるように、パンデミックには店舗型が弱く、ハイテク産業は強い。しかし個性あふれる店舗が無くなる世界など、なんと味気のない世界でしょう?
だからこそ、そういったときの救済策や違った形での経済システムや雇用が、再検討なされるべきだと思います。
これまでの世界が最高に素晴らしいとも思っていなかったので、ポジティブな意味でのいい機会だと、同じく感じます。
われわれ人類はもっと、よりより世界を創造するチカラがある筈です。

そして怖いのは独裁です。ハンガリーで既にそのような状況にあることは、この番組のおかげで知りました(アタリ氏も言及していました)。
「この状況は、まるで戦時下だ」と感じた時にそのことも頭をよぎりました。今のところウチの国のトップ陣はいい意味でもわるい意味でも、独裁化にはほど遠い非カリスマな面々ではありますが、ヒットラー台頭の時のように、耳心地の良いインパクトの強い、煽られるような、何故か話に引き込まれるような政治家が現れたときは、本当に注意です。
そしてこの国の軍事化は、そういったカリスマよりは、じわじわと真綿で締め上げるように、国民が気がつかないように、色んな法改正が成されていたりする手法が取られます。

>インタビュアー「市民はどう行動すべきでしょうか?」

政治的状況に目を光らせるべきです。
政治的決定は今も行われています。
自国優先の孤立主義や、独裁者を選び、科学を信じず陰謀論を信じるようになったら、大惨事となり、多くの人はなくなり、経済は危機になり、政治は混乱する。

情報と行動のレベルの責任を個人が負うこと。
科学に基づいたガイドラインや、信じる情報を吟味し信頼する。
市民が科学的な指針に従えば、緊急時に独裁的手法をとる必要がなくなる。
現在の状況や、誰を信じるべきかについて知識をつけ、大学や保健省など信頼できる指針を忠実に守り、陰謀論の罠に陥らないこと。

日本人は政治的状況を監視すること、その前に関心を向けることが苦手です。
なぜなら何を言っても無駄だろうという、無力感を感じるようにされてしまっているからです。
しかし、今回の国内の動きを見ていると、変な対応策を打ち出した政府に、きちんと抗議をすると、撤回されて改善されるということが少し見えました。
こういった政治的「成功体験」が積み重なれば「必死で動いたら、政治も動くんだ?」ということがわかってきます。今回のことではみんなが必死です。明日からどうやって食べていけばいいんだ?という生死が関わっていますから。
それがわかっただけでも、今回のパンデミックはいい機会になったのかもしれません。

そして、信頼できる情報を掴むチカラ。何度もお伝えしてますが、今からでも遅くないです、本を読みましょう。今日お伝えしてる3人の著書なんていかがですか?

グローバルな連携や、民主的で責任ある態度、科学を信じる道を選択すれば、わたし達人類はウイルスだけでなく、自分たちの内側に潜む悪魔を打ち破ったのだと言えます。
憎悪や幻想、妄想を克服した時期として、真実を信頼した時期として。
以前よりずっと、強固に団結した種になれた時期として、位置づけられるはずです。

ハラリ氏は著書『サピエンス全史』で、人類は共通の「幻想」を持てるから発展してきたのだと言います。政治も宗教も貨幣も道徳も、すべて集団の「幻想」なのだと。そういったことがベースになった、上記の言葉です。
同じ「幻想」ならば、より良く、賢く、我よしじゃない世界にするように、進化していきたいと願います。そして、この困難がそのためのいい機会になったのだと思えるように行動したい。

最後に、2009年に出された著書「危機とサバイバル―21世紀を生き抜くための〈7つの原則〉」の中で、グローバル化と自由な流通によって起きる、パンデミックの危険性を説いたジャック・アタリ氏>

大事なことは、衛生と社会の透明性。
パンデミックの警告を世界で共有するルール作り。

この危機を乗り越えなければ、市場と民主主義は崩壊する。
スペイン風邪のように、収束してもまた外出がなされ、第2波、第3派とやってくる。スペイン風邪の時は第2波でさらに世界の死者数が増えた。

最悪のシナリオを描いて、そうならないように進まなければならない。
それは、世界恐慌、失業、インフレ、ポピュリスト政府の誕生、長期不況の暗黒時代の到来である。

長期化を本当に覚悟しなければなりません。
そして、ウイルス対策、政治の監視、経済対応が人類の課題です。

>インタビュアー「差別が高まるのでは?」

バランスの取れた連携が大事。
Altruisum(利他主義)であること。
他者のために生きる、人間の本質に立ち返る。協力は競争よりも価値があり、人類は一つであることを理解すべきだ。
利他主義という理想への転換こそが、人類のサバイバルの鍵である。

Positivism(実証主義)とOptimism(楽観主義)は違う。
サッカーを見て「勝てそう」と思うのはOptimismであり、サッカーに参加して「上手いプレイが出来れば、この試合は勝てる」と考えるのがPositivism。

自分たちの安全のために最善を尽くし、世界規模で経済を変革させていくことが出来れば、きっと勝てる。
ポジティブ経済と呼ぶものに向かう良いチャンス。

利他主義は、合理的利己主義である。
自分が感染しないためには、皆が感染しないようにすることが大事で、よって、結果的に利他であることは、自分の身を守り、自分の利益となる。
他の国が栄えることも、結果的に市場が拡大し自国の益になるのである。
利他主義は合理的で、自己中心的行動である。

爆弾や武器の生産から、本当に必要な医療や食や住宅などへの生産に転換していく社会にする。
しかしパンデミックの後、また基の行動様式に戻ってしまうかもしれない。

「人は恐怖を感じる時に飲み大きく進化する」

進化するために、恐怖や大惨事が必要だというのではない。
しかし、良い方向に進むためには、今の状況をうまく生かすしかありません。
「ポジティブな社会」「共感のサービス」の方向に向かうために。

しかし、人類は未来について考える力がとても乏しく、そして忘れっぽい。
過去の負の遺産を嫌うため、それが取り除かれると、これまで通りの生活に戻ってしまう。

そんな弱さを、人類が持たないように祈ります。
次世代の利益となるように行動を取れれば、それが希望となります。

アタリ氏のこのインタビュー内容は、地恵にあふれ、それこそ楽観的ではなくポジティブで。
本当に、この通りのことを、わたしもただ願い、行動に移していこうと思わせるものでした。

利他とは、自己犠牲でも無私というわけでもない。
自分をしあわせにするために、自分の得のために、他者にやさしくあること、他者の益になるような行動をすること。
そして結局、自分のしあわせというのは、幸福な社会というのは、みんなと一緒に笑えること。楽しいことを分け合うこと。
一緒に協力して、より良いものを創っていくこと。
そういうことは、言い方を間違うと、単なる「理想論」だったり「楽観主義」だと誤解されそうな話ですが。
けど、経済学者で政治顧問にして思想家、そしてユダヤ系フランス人という複雑なルーツを持つアタリ氏の言葉は、不思議とスルスルと心に染みていきました。
画面を通しての氏の様子も、深い知性と共に、穏やかで慈愛に満ちた方のように感じました。

さっそく著書を読んでみたいと思います。

私見を大量に混じえながらで失礼しましたが、この番組の熱が伝われば幸いです。

▼今日のおすすめ
『サピエンス全史』作者:ユヴァル・ノア・ハラリ
著者は歴史学者ですが、ここには生物学、人類学、ありとあらゆる叡智を総動員して何故にサピエンスが、人間が発展したかの考察が記されています。知的好奇心を最上級で刺激してくれる、読書という至福が味わえます。人類は「幻想」を基にここまで発展してきたというのは、足元を救われるような話でもあります、しかしながら仏教に馴染む人なら「この世は空である」を結びつけ、自然な科学的結論だと感じるでしょう。読んだ人と語り合いたい本。無料のKindle試し読み版も貼っておきますね。

 

読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪

 

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プロフィール文章、紹介文、ヘルスケア関連、文化人類学などのライティングと、オリジナル小説の執筆をしています。 

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