「サピエンス全史」を読みました3 - 差別と個人主義と毒親と
「サピエンス全史」は近代とは本当に近代か?人間は成長し、進化しているのか?という疑問も投げつけます。
例えば、差別について。
男尊女卑は、まるで過去の事のような風潮もあるけれど、2006年の時点で夫が妻にレイプをしても起訴できない国が53ヶ国あると。
(もう少し近年のデータをと調べてみたのですが、英語力が乏しく探しきれませんでした)
ドイツでさえ違法とされたのは1997年のこと。先進国の中でも法整備が充実してそうなドイツでさえ、めちゃくちゃに最近なのです。
本当につい最近まで、奴隷と共に、女性には選挙権もありませんでした。
女性が人間として扱われていないという事実は、現代にも続いているのです。
例えば、欧米的な個人主義についても。
欧米の人について、小さな子どもであっても自分の部屋で寝かせて、自立心とか「個」を育てさせる大人な社会というイメージがあるけれど。
ごく最近まで、たとえ宮殿に住む貴族であっても日本みたいに川の字で寝たり、たくさんの人と大勢で一緒に寝ていたんだそう。
そして自立心と個を重視するがゆえに「他人の目を気にしない」スタンスがあるけれど、これもまた中世では「人の評価がすべて」で、それは他人からの賞賛=誉れ、誇りを尊ぶ騎士道精神や、貴族の虚栄心などを見ればわかるのだと言います。
騎士道とキリスト教という2つの信仰がヨーロッパの土台となるのだと。
つまり結構アジア的というか日本のような、全体主義=家族間での「個」が存在しなかったり、人目を過剰に気にするといったことはヨーロッパでもあったことなのだと。
個人主義は150年間の近代というより、現代のみに存在するものだと書きます。
個人的にはこの「自立し、人の目を気にせず、個は個であるという認識」はとても気に入っていてヨーロッパが好きな由縁でもあるのですが。つい昨今の流行りの考え方なのだと知って衝撃でした。
最後は、人格形成に親が与える影響について。
大人になっても生きづらさを感じたりする人、犯罪者はその親に原因があるとする話。
これは現代では常識のようになっていますが、これもまた近代ですらなく現代での考え。
ハラリ氏的に言うならば「何もかも、すべては親のせいにする現代」となります。
確かに。
これもまた心理学などの発展により解き明かされて、そして一般化していった認識。
昨日の記事でも書いたので読書感想文からちょっと脱線しますが。
erikoo.hatenadiary.jp
親も人間だから完璧ではなくて、そのほとんどが未熟である、という点と。
人間の心理的問題のほとんどは親に由来する、という発見を分けて考えていくのが重要ではないかなと。
親を責めるためにこの事実を追求するのではなくて、そうであると認めて、自分で自分を癒していけば(プロや身近な人の手も借りて)いいのではないかと思うのです。
男と女、民族、人種に横たわる根深い差別という問題。
個人主義と全体主義。
そして誰しもが持つ親という存在。
これらもまた、サピエンス全体を見るという俯瞰の目で見るとまた違った様相が浮かんでくるようなのです。
続きます。
読んでいただきありがとうございます☆祝福アレ♪
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