HSP/HSSについての考察 19 - 狩猟採集の名残り
HSP/HSSシリーズ、前回の自然環境と親和性の話、の続き。
人類は600万年前、狩猟採集生活をしていました。
そこから1万年前に農耕牧畜を始め、5000年前にメソポタミアなどから文明が生まれ、100~150年前に産業革命がってそこからが現代社会に繋がります。
情報革命と言われるパソコンや携帯が一般家庭レベルで普及し始めたのは約25年前、スマホはたかだか約10年です。
6000000年、10000年、5000年、100年、10年。
目で見ると数字の大きさがわかりやすいので書いてみましたが、人類というものは圧倒的に狩猟採集生活の時間が長いのです。
人類の転機で区切りましたが、こう見ると転機の速度は上がっています。
最初は599万年経ってから狩猟採集から農耕へと変化したものが、産業革命から情報革命は約100年。文明は倍々で速度を上げて進化しています。
けれど、身体というものはそこまで変化していません。
今なお、身体の基本は600万年間の歳月で培われた、狩猟採集生活をするように出来上がっています。
そして「現代社会」と言われるものの圧倒的短さ。
ですから、デスクワークで座りっぱなしだったり、一日中建物の中にいて陽の光を浴びないでいるとか、満員電車のように異様に人が密集している場所に長時間いる。
通勤や通学、近所のコンビニに寄るくらいしか身体を動かさない。
そういうことをしていると不調になるのは当たり前。
身体は動くように出来ていて、動いているのが通常であるように作られています。
それでも人間というものは順応性というものがあって、なんとか適応してい生きていくことが可能です。
でも、どこかで歪みが出てくる。
それらが現代社会に蔓延する不調だったり病気、精神疾患や鬱なのだと、容易に推測可能ですね。
その中でも、不調でもないし疾患でもないけれど、この社会で生きにくいとされる存在。
HSP/HSSは「気質」だと捉えられていますが、ADHDやアスペルガーは発達障害とされています。
「障害」なんですね、現代社会にとっては。
確かに彼らは生きづらいし、周囲の理解も得にくいだろうし、親だって自分の子を測りかねることだって多いでしょう。
けれど「障害」というものは、いつだってその時々の環境から見たマイノリティなだけ。
障害の全てを「個性」だと言ってしまうのは暴論すぎるとは思いますが、個々人をよく見て「障害」なのか「個性」なのか丁寧に見ていく必要があると思います。
例えばトム・クルーズがそうであったことで有名なディスレクシアは、知能や理解力などに異常がないのに、文字の読み書きが難しいという学習障害です。
しかし狩猟採集民族には文字はなく口承文化であり、日本でもつい100年程前の明治まで、アイヌ民族は文字を持ちませんでしたし、世界中にも未だ(もしくは近年まで)口承文化は残っています。
文明というものは「文字」の誕生と共に一気に花開きましたが、人類は長い長い期間文字のない生活をしていました。
なので、ディスレクシアは性質の名残なのではないかとも推察出来ます。
トム・クルーズを見ればわかりますが、身体能力や演技力、画面を通して伝わる人間性、どれをとっても彼が「何かが劣る人間」だと評価する人はいないでしょう。
(話がずれますが、トム・クルーズがそれを克服したのは、菜食主義になったからだとも言われていることも念の為付記しておきます)
狩猟採集生活というものは、山の中、森の中、ジャングル、そして海辺や海上。
そのような場所で、自然の微細な変化に敏感に捉えることが必要でした。
それらが狩りをする動物へと、採集する果実へと導き、危険から身を守ります。
その能力がなければ死を招きます。
過集中であること、多動で注意力散漫であること、感覚が敏感すぎること等の特性は、それらを大いに物語るものではないでしょうか。
続きます。
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江戸~明治期のようなノスタルジックな時代背景に、まるで日本昔話のような不思議な「蟲」のお話。日本の原風景のような農村、山村、浜辺の村、山や森と植物や動物が淡々と描かれ、けれど物語はダイナミックに動きます。自然は敵でも味方でもなく共存する相手なのだと感じ、静かな世界なのに引き込まれます。アニメよ良きです。
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